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動産・債権譲渡登記

債権譲渡登記とは

本来債権譲渡をする場合は、第三者対抗要件を具備するため、譲渡債権ごとに譲渡人から第三債務者に対する確定日付ある証書による通知もしくは第三債務者から譲渡人または譲受人に対する確定日付ある承諾という民法所定の通知、承諾などの手続をとらなければなりません。しかし、譲渡債権が多数ある場合には、個々の債権譲渡について同様な手続をとらなければならないとすると手続・費用の面で負担が重く,実務的に対抗要件を具備することは困難となります。そこで、法人が行う金銭債権の譲渡等について、民法の特例として、債権譲渡登記をすることにより、債権譲渡の債務者以外の第三者に対する対抗要件を得ることができるとしたものが、債権譲渡登記制度です。

もっとも、第三債務者保護のために、債権譲渡登記の事実を知らない第三債務者が旧債権者に弁済した場合に新債権者から二重弁済を迫られたり、第三債務者が旧債権者に対して有していた相殺の抗弁を行なうチャンスを逸してしまう可能性があるため、第三債務者に対して当該債権譲渡を対抗するには、当該債権の譲渡人もしくは譲受人が当該債権の債務者に登記事項証明書を交付して通知をし、または、当該債務者が承諾したときは、はじめて、第三債務者に対しては対抗要件が具備されたことになります。

債権譲渡登記表

動産譲渡登記とは

動産譲渡登記とは、動産譲渡登記ファイルに記録することにより、動産の譲渡について民法第178条の引渡しがあったものとみなし、第三者対抗要件を具備することのできる制度です。

同一動産について動産譲渡登記が競合した場合の譲受人相互間の優劣は、登記の先後によって決せられ、また、動産譲渡登記と民法第178条の引渡しが競合した場合の優劣は、登記がされた時と引渡しがされた時の先後によって決せられることとなります。
例えば、これまでは、動産を譲渡担保に供して銀行等より融資を受ける場合に譲渡される動産は、譲渡後も企業の直接占有下に置かれたままになっている場合が多く、対抗要件については民法第183条の占有改定によって具備するしかありませんでした。

しかし、この占有改定は、外形上その存在が判然としないため、後日その動産を取得する者が現れて占有改定の有無・先後をめぐって紛争が起こり得る事や、同じ動産に別々の銀行等が譲渡担保を設定するということなどの問題が生じ、資金調達のために動産を活用することにリスクがありました。

動産譲渡登記制度を利用することにより、こうした紛争を未然に防止することができますし、また、仮に紛争になった場合でも、登記という国の公示制度を利用することによって、対抗要件具備の立証が容易になると考えられます。なお動産譲渡登記は、動産の譲渡の事実を公示するものであって、この登記により動産の存在やその所有権の帰属を証明するものではありません。
債権譲渡登記表

動産譲渡登記における"動産の特定方法"

動産譲渡登記を申請する場合、動産を特定する必要があります。譲渡に係る動産を特定する方法として、「(1)動産の特質によって特定する方法」、「(2)動産の所在によって特定する方法」の2種類があります(動産・債権譲渡登記規則第8条第1項)。

(1)動産の特質によって特定する方法(個別動産)

一つの動産(単一性)ごとに登記します。具体的には、製造番号や製品番号等のシリアルナンバーがこれにあたりますが、製造番号や製品番号等のシリアルナンバーがないものであっても動産を個別に識別することが可能な明認方法(ナンバリングされたシールを貼付するなど)されている場合は、特定されているので登記可能です。

(2)動産の所在によって特定する方法(集合動産)

動産の種類および動産の保管場所の所在地等によって対象動産を特定して登記します。

動産譲渡登記の存続期間

原則:10年を超えることができません。

動産譲渡登記の対象とならないもの

  1. 自動車、船舶、小型船舶、航空機などで登録などがされた動産
  2. 無記名債権、株券等

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